CPUはGPU時代の「脇役」と見られがちだが、依然としてHPC(高性能計算)分野では重要な役割を果たしている。特に、CPU専用で動く多くのHPCアプリケーションにおいてはその性能が鍵となる。 インテルの新CPU「Xeon 6 Granite Ridge」とAMDの第5世代「EPYC Turin(Zen-5)」が市場に登場し、両者の直接対決が実現した。
これにより、最新のx86アーキテクチャの比較が可能になり、注目が集まっている。 ベンチマーク結果では、Xeon 6がメモリ性能で強みを見せる一方、Zen-5は数値計算処理で優位性を発揮した。これらの特徴は、今後のHPCシステムの選択において重要な要素となるだろう。
GPU時代におけるCPUの価値の再評価
GPUがHPCシステムの主力となる中、CPUはあまり注目されない存在になりつつある。しかし、多くのHPCアプリケーションはCPUの計算性能に依存している。特に、GPUが得意とする並列計算に適さないワークロードや、単一ノードでの性能が重要なアプリケーションにおいては、CPUの役割は依然として不可欠である。
また、GPUとの連携も求められるため、CPUのメモリ帯域幅やキャッシュの最適化も重要な要素だ。 今回のインテルとAMDの新CPUは、次世代HPCシステムの中核を担うべく設計されている。高性能なGPUと組み合わせたハイブリッド構成の普及が進む中、CPUが果たす役割の再評価が進むことが期待される。
Xeon 6とZen-5の特徴とその違い
Xeon 6は、インテルが開発したGranite Ridgeアーキテクチャをベースにしており、128のPコアを搭載する一方、3.2 GHzまでブーストするクロック性能を持つ。特筆すべきは、DDR5-6400やMRDIMM-8800といった最新のメモリ規格に対応しており、メモリ集約型アプリケーションにおいても高いパフォーマンスを発揮する点である。
一方、Zen-5を基盤とするEPYC Turinプロセッサは、192コアを持つモデルもあり、AVX-512といった命令セットを強化することで、数値計算能力を飛躍的に向上させている。 両者は性能と用途において明確な違いを持つ。Xeon 6は高いメモリ性能が求められるアプリケーションに向いており、Zen-5は大量の計算を高速に処理する用途に強みがある。このように、アーキテクチャの設計思想に基づく性能の違いは、ユーザーがどのプロセッサを選ぶかの指針となる。