Qualcommは「Snapdragon 8 Elite」を発表し、次世代モバイル体験を牽引するSoCとして注目を集めている。新たなOryon CPUは前世代比45%の性能向上を実現し、6つのパフォーマンスコアと2つのプライムコアで構成される。
さらに、Adreno GPUは分割型アーキテクチャを採用し、40%の性能向上とバッテリー効率を実現する。AIエンジンの強化により、ISPはリアルタイムでの画像処理とオブジェクト認識機能を提供する。5G通信にはSnapdragon X80モデムを搭載し、Wi-Fi 7対応とデュアルBluetooth接続で一歩先を行く通信性能を約束する。
Qualcomm、次世代フラッグシップSoC「Snapdragon 8 Elite」を発表
Qualcommは、2024年のSnapdragon Tech Summitにて新たなフラッグシップSoC「Snapdragon 8 Elite」を正式発表した。このSoCは、45%のCPU性能向上を実現し、モバイル市場でのリーダーシップを再確認する形となった。次世代のスマートフォンに向けて開発されたこのプラットフォームは、最新のOryon CPUやAdreno GPUを搭載している。Snapdragon 8 Eliteは、3nmプロセスで製造されており、性能と省電力性のバランスを取る設計が特徴である。
特に、高性能が求められるゲームプレイやAI処理において、同等の電力消費で競合を凌駕することがアピールされている。また、複数の主要メーカーが今後このSoCを搭載したデバイスを発表予定である。同プラットフォームには最新のSnapdragon X80 5Gモデムが内蔵され、次世代の通信環境にも対応している。ASUS、Samsung、Xiaomiなど、各社がSnapdragon 8 Eliteを搭載したデバイスを数週間以内に発表する見込みだ。
45%高速化されたCPUと初の分割型GPUが実現する新体験
Snapdragon 8 EliteはQualcommの第2世代Oryon CPUを搭載し、最大4.32GHzのクロック速度を達成する。2つのプライムコアと6つのパフォーマンスコアで構成され、シングルおよびマルチスレッド処理で大幅な性能向上を実現する。前世代比で45%の高速化と44%の省電力性能が実現されている。新しいAdreno GPUは、モバイル業界初の分割型アーキテクチャを採用している。
それぞれの「スライス」に専用メモリを持たせ、よりスムーズな描画とバッテリー効率を高めた。この結果、40%の性能向上と35%のレイトレーシング性能強化が実現されている。さらに、Snapdragon 8 Eliteは最新のUnreal Engine 5.3をサポートし、ゲーム開発者に映画品質の3D環境を提供する。ゲームユーザーは、バッテリーの持ち時間を損なうことなく高い没入感を得られるだろう。
AIエンジンで進化するISP、映像解析やオブジェクト消去も可能に
Snapdragon 8 EliteはAIエンジンが強化され、ISP(イメージ・シグナル・プロセッサ)も進化を遂げた。新たなISPは、リアルタイムで250以上のレイヤーにわたって画像を解析し、顔や背景、衣服などを識別する能力を持つ。また、「Video Object Eraser」により、動画から不要な要素をその場で消去することもできる。
AIエンジンはHexagon NPU(ニューラルプロセッサ)と連携し、AIを活用した映像の色調補正やリアルタイム分析を実現する。これにより、自然な肌や空の色を再現し、低照度の条件でも高品質な映像が撮影可能となる。また、TruepicによるC2PA対応の暗号化シールも搭載され、写真や動画がAI生成されたものではないことを証明できる。これにより、デジタルコンテンツの信頼性が向上し、ユーザーに安心感を提供する。
Wi-Fi 7対応と高度な接続技術で次世代通信環境を提供
Snapdragon 8 Eliteは、通信性能でも業界をリードする。最新のSnapdragon X80モデムとAIによる最適化により、5Gの多キャリア接続とデュアルSIM対応が可能となり、グローバルでの利用が容易になっている。さらに、Wi-Fi 7をサポートし、最大5.8Gbpsの速度を実現する。Wi-Fi 7は、複数の帯域を同時に使用する「マルチリンク」にも対応し、高速かつ安定した通信環境を提供する。
これにより、ゲームやストリーミングで遅延を最小限に抑えることができる。また、Bluetooth 6.0とUWB(超広帯域通信)も搭載し、近接通信での利便性も強化されている。これらの接続技術により、スマートフォンが紛失した場合の位置特定や、セキュアな建物へのアクセス管理がよりスムーズになる。Snapdragon 8 Eliteは、次世代の通信インフラとデジタル体験を一体化するプラットフォームとして期待される。