中国のLoongson社が、2025年に初のGPGPU「Loongson 9A1000」を市場に投入する計画を発表した。この新GPUはエッジAI計算や無人システム向けに設計されているが、性能は2017年発売のAMD RX 550に匹敵する程度に留まる見込みである。一方で、同社は次世代モデル「9A2000」の開発も進めており、これによりNVIDIAのRTX 2080に匹敵する性能を目指すという。

Loongson社、国内技術の自立を目指す新GPUを発表

Loongson社は中国の半導体分野で重要な存在であり、これまで国内製のCPU開発を主軸としてきた。同社の新たな動きとして、独自開発のGPGPU「Loongson 9A1000」の投入が注目されている。国内市場はもちろん、エッジAIデバイスや無人システム向けに対応することで、海外技術への依存を減らすことを狙う。

中国政府もテクノロジーの自立を推進しており、このGPGPUの開発は国家戦略の一環といえる。LoongsonのGPGPUは、AI演算と一般計算の両方を効率的に処理できることを目指し、性能と消費電力のバランスを重視して設計されている。同社の発表によれば、AI応用において重要な演算機能に特化することで、無人システムやエッジコンピューティング分野での活躍を期待している。

「9A1000」の性能は2017年発売のAMD RX 550相当

Loongson 9A1000は、2017年に発売されたAMD RX 550に近い性能を持つとされる。RX 550は低消費電力とコストパフォーマンスに優れたGPUで、主にエントリーレベルの用途で利用されてきた。これに対し、9A1000はPCIe 4.0に対応し、メモリにはLPDDR4Xを採用しているが、全体的な性能は先進的とは言いがたい。FP32での処理速度は1TFLOPS、FP64では64GFLOPSと発表され、これらの数値は高性能GPUとは大きな開きがある。

一方、9A1000には動画処理用のモジュールも組み込まれており、H.264およびH.265のデコードが可能だ。また、出力端子にはHDMI 2.1、DisplayPort 1.4、さらにはVGAまで備え、古い規格への対応も意識されている。中国国内のエッジシステムや特定用途では一定の需要が見込まれるが、競争が激しい国際市場での存在感は薄いままである。