Intelの新たなフラッグシップCPU「Core Ultra 9 285K」が、期待された性能を発揮できていないことが判明した。新世代のArrow Lakeアーキテクチャを採用するも、Core i9-14900KやRyzen 7 7700Xなど旧世代のCPUにすらゲーム性能で後れを取っている。
一部のレビューでは、ハードウェアの不具合やWindowsアップデートの影響が指摘され、動作不安も懸念されている。Intel内部では否定されているが、ブルースクリーンやゲームサーバーからの排除などの問題が発生しているという。この結果、Intelが進める新たなシリコン設計とプラットフォーム戦略に再評価が求められる局面に立たされている。
Core Ultra 9 285Kのゲーム性能に課題
Intelの最新フラッグシップである「Core Ultra 9 285K」は、ゲーム性能の面で期待を大きく裏切る結果となった。新しいArrow Lakeアーキテクチャを採用したにもかかわらず、旧世代のCore i9-14900KやAMDのRyzen 7 7700Xといった過去のモデルにさえ及ばないという評価を受けている。
こうした性能差は、特にゲーミング用途において顕著であり、従来のIntelユーザーの期待を大きく下回る内容だといえる。一部のレビューでは、ゲームプレイ時にフレームレートが不安定になるほか、特定のタイトルではカクつきや遅延が頻発するという報告も出ている。このことは、新たな世代のCPUが直面している未解決の課題を示唆している。
旧世代Core i9とRyzenモデルに劣る結果に
Core Ultra 9 285Kの性能は、単にライバル製品と競り合う程度ではなく、旧世代のCPUにも及ばない厳しい状況にある。テストでは、Core i9-14900KおよびRyzen 7 7700Xの双方がCore Ultra 9 285Kを超えるパフォーマンスを示している。
これは、Intelが発表する理論上の性能向上が実際のゲーム環境では再現されていないことを意味する。さらに、Ryzenの7800X3Dや9950Xといった製品にも劣る結果となり、競争力の低下が鮮明になっている。ゲーミング市場においては、ハイエンドなプロセッサの優位性がユーザーの選択を左右する重要な要素となるため、この結果はIntelにとって痛手である。AMDはすでに次世代CPUへの期待感を高めており、Intelは今後の対策を迫られている。
Arrow Lake-Sプラットフォームの不安定さも指摘
Core Ultra 9 285Kを搭載するArrow Lake-Sプラットフォームに関しては、性能の問題だけでなく、安定性の面でも不安が指摘されている。特にゲームプレイ中に発生するブルースクリーンやサーバーからの排除といったトラブルが報告されており、これが新世代のCPUに起因する可能性が示唆されている。
レビュワーの一部は、このCPUがチートコードとして誤認識される現象についても言及しているが、これはCPUやドライバ、もしくはWindows側の問題が絡んでいる可能性があるとされている。Intelはハードウェアの欠陥を否定しているが、消費者への影響は深刻であり、製品の信頼性を損なうリスクを抱えている。今後、Intelはソフトウェアやファームウェアのアップデートで安定性の改善を図る必要があるだろう。
Intelの次世代アプローチに必要な再検討
Core Ultra 9 285Kの問題は、単なる性能不足や不安定さにとどまらず、Intelの次世代アプローチ全体を見直す必要性を浮き彫りにしている。このCPUは、同社初のTSMC製造プロセスを採用し、新しい800シリーズおよびZ890チップセットと組み合わせたものだが、これらの要素がまだ十分に最適化されていない可能性がある。また、早期の製品投入が市場の混乱を招いたとの指摘もある。
消費電力の面でも、Cinebench R23実行時に370Wに達することが報告され、競合するAMDの120W TDP製品と比べて非効率的である。このような状況では、Intelは技術的革新だけでなく、市場戦略や製品開発のアプローチも再考する必要がある。今後のアップデートや新製品の投入が、同社の信頼回復のカギとなるだろう。