中国のZephyrが、AMDのRadeon RX 6800とRX 6900シリーズのグラフィックカードを白い基板で新たに発表した。これらのカードは、AMDが元々リリースしてから4年が経過しての市場投入となる。
Zephyrは、GPUの冷却技術と基板設計において高度な製造が必要だったと説明し、いくつかの部品は既存の退役企業から調達したという。今回発表された3モデルは、ゲーマー向けに手頃な価格で販売される。また、次世代のRX 7000シリーズも近々発表予定で、すでにPCB設計は完了しているとのことだ。
Zephyrが初のRadeon RX 6000シリーズを投入
中国のZephyrは、AMDのRadeon RX 6800およびRX 6900シリーズのグラフィックカードを正式に発表した。白基板を採用したこれらのカードは、オリジナルのAMDリリースから4年が経過しての登場となるため、業界内で大きな話題を呼んでいる。RDNA2アーキテクチャを搭載するこれらのモデルは、主に高性能ゲーミング向けに設計されている。
今回のシリーズ投入により、Zephyrは初めてAMD製のハイエンドGPU市場に参入する形となった。特に、これまでAMD製品に携わっていた一部のパートナー企業がすでに撤退した状況で、新たなプレイヤーとして名乗りを上げたことは注目に値する。Zephyrの戦略は、単なる新製品投入ではなく、性能とコストのバランスを重視した市場参入を目指している点にある。さらに、今回のRX 6800と6900シリーズの登場は、次世代のRX 7000シリーズへの布石とも捉えられる。Zephyrは既存のハードウェアを有効活用しつつ、新たな冷却技術やPCB設計の開発を推進し、ユーザーに対してコストパフォーマンスに優れた選択肢を提供することを目指している。
なぜ今?RDNA2カードを2024年に発売する背景
Zephyrが2024年にRDNA2ベースのRadeon RX 6800および6900シリーズを発表した背景には、いくつかの要因がある。まず、同社は初の高性能GPUを投入するにあたり、AMDの製造要求に応えるための研究開発と供給網の整備に時間を要したという。特に冷却設計や基板製造の複雑さが、今回の遅れに大きく影響を与えた。
さらに、今回のカードに用いられた一部の部品は、すでに製造を終了した企業から調達されたものである。このような状況下での製品化は困難を伴ったが、Zephyrは市場のニーズを的確に捉え、手頃な価格帯のハイエンドGPUを提供することで、ユーザー層の拡大を狙っている。また、ZephyrがこのタイミングでRDNA2カードを投入した理由として、次世代のRX 7000シリーズの開発を進めるための市場テストとしての側面もある。これにより、ユーザーからのフィードバックを活かし、より完成度の高い製品の提供を目指している。
冷却設計の工夫と上位チップの活用
今回発表されたRX 6800、6800 XT、6900 XTの3モデルは、同一の冷却システムを採用しつつも、各モデルの性能に応じて微調整が施されている。Furmarkのストレステストでは、いずれのモデルも69°Cから73°Cの範囲で安定動作を示した。これにより、高負荷なゲーム環境でも安定したパフォーマンスを実現している。特に注目すべきは、RX 6900 XTに使用されているチップの一部が、上位モデルであるRX 6950 XTのNavi 21 KXTXチップである点である。
このような高性能チップを活用することで、ユーザーは従来モデルよりも優れたパフォーマンスを得られる可能性がある。ただし、これらのチップは100個ほどしか在庫がないため、希少価値が高い。Zephyrは、冷却性能と基板設計の向上を通じて、限られたリソースの中で最大限の性能を引き出すことを目指している。
価格を抑えたゲーミング市場への挑戦
Zephyrは、ハイエンドGPUを手頃な価格で提供することに注力している。今回のRX 6900 XTは2,999人民元(約410米ドル)、RX 6800 XTは2,799人民元(約383米ドル)、そしてRX 6800は2,499人民元(約342米ドル)で販売される。これにより、予算を抑えたいゲーマーにも手が届く製品を展開する戦略である。同社は、NVIDIAといった競合他社の最先端製品と正面から競争することよりも、コストパフォーマンスを重視した市場参入を目指している。
これにより、性能に妥協したくないが、価格面での制約があるユーザー層の取り込みを狙っている。また、今回の価格設定は、今後発売予定のRX 7000シリーズの普及を見据えたものでもある。Zephyrは、この価格帯での成功を足掛かりに、次世代製品の投入を通じて市場での地位を確立することを目指している。