AMDの新CPU「Ryzen 7 9800X3D」がGeekbenchに初登場し、その性能が明らかになった。Zen 5のパフォーマンスへの期待に応えるべく登場したこの8コアCPUは、ASUSとBiostarのマザーボードでテストされ、4.7GHzのベースクロックに加え、最大5.3GHzに到達するブーストクロックが確認された。

ベンチマークスコアでは、シングルおよびマルチスレッド性能で7800X3Dを20%上回る結果を示し、TDPは120Wとされている。11月7日の発売が予定されており、ゲーミング用途での評価が期待される中、その価格が今後の注目点となるだろう。

8コア構成のRyzen 7 9800X3Dがベンチマークに登場

Ryzen 7 9800X3Dは、AMDのZen 5アーキテクチャの改良版として登場した8コア16スレッドのプロセッサである。ASUSのROG Crosshair X870E HeroやBiostarのX870 Valkyrieといったハイエンドマザーボード上でGeekbenchテストが実施されており、これが公式に確認された最初の事例である。

シングルコアスコアは3295から3305の間で、多くの現行モデルを上回る結果を残した。また、マルチスレッド性能では18221から18560という高いスコアを記録し、特に同社の7800X3Dを超える性能を見せつけた点が注目される。今回のテストはまだエンジニア段階での評価とされ、市場への正式投入に向けたさらなる最適化が期待される段階にある。

シングル・マルチ性能で前世代を上回る結果

Ryzen 7 9800X3Dは、前世代のCPUである7800X3Dおよび7700Xに対して大幅な性能向上を示している。シングルコア性能は最大20%の向上を果たし、ゲーミングやシングルスレッド中心のアプリケーションでの優位性が見込まれる。また、マルチスレッド性能も同様に20%の向上を記録し、クリエイティブ用途やマルチタスク環境での利用においても高い評価が期待されている。

TDPが120Wに引き上げられている点も性能向上の一因と考えられるが、それに伴う発熱対策が求められるため、冷却システムの準備が鍵となるだろう。これにより、Ryzen 7 9800X3Dはプロフェッショナルな用途から一般ゲーミングユーザーまで幅広く対応できるCPUとなる可能性を秘めている。

5.3GHzクロックが示唆するPBOの可能性

Geekbenchの結果によれば、Ryzen 7 9800X3Dは最大5.3GHzのブーストクロックに到達していることが確認されている。しかし、一部の非公式な情報によると、PBO(Precision Boost Overdrive)が有効になっている可能性が示唆されており、標準設定でのクロックは5.2GHzである可能性もある。

このPBO機能は、システムの状況に応じて動的にクロックを引き上げるものであり、最大性能を引き出すための重要な要素となる。こうした機能の最適化により、9800X3Dは競合するIntel Core Ultraシリーズに対して優位に立つことが期待されている。また、今後のBIOSアップデートによってさらに性能が向上する可能性もあり、正式リリース後のパフォーマンスが注目される。

11月7日の正式発売に期待される価格と評価

Ryzen 7 9800X3Dは11月7日に正式に市場に投入される予定である。AMDは、特にゲーミング用途においてこのCPUの優れた性能をアピールすることが予想されているが、その一方で消費者が注目するのは価格設定である。これまでのX3Dシリーズは性能に対するコストパフォーマンスが評価されてきたが、今回の9800X3Dがどの価格帯で販売されるかによって市場での評価が左右されるだろう。

特に、競合するIntel Core Ultraシリーズが同時期にリリースされることから、価格競争が激化することが予想される。AMDは、性能と価格のバランスをどのように取るかが重要な課題となるだろう。また、正式なレビューやテスト結果が発表されることで、ユーザーからのフィードバックが集まり、最終的な評価が固まっていくと考えられる。