クアルコムは、新たに公開したSnapdragon X Eliteのベンチマーク結果で、インテルの「Lunar Lake」およびAMDの「Strix」を上回る性能を示したと発表した。特に第2世代Oryon CPUの性能は、インテルのCore Ultraシリーズを大幅に凌ぎ、シングルコアでは3209、マルチコアでは10205というスコアを達成した。これにより、Snapdragon X Eliteは、単なる性能の向上だけでなく、省電力性においても他社をリードしていることを示している。クアルコムは、PCおよびモバイル市場での地位をさらに強化する計画を明らかにし、次世代CPUのリリースに向けた期待を高めている。
Snapdragon X Eliteの性能、インテルとAMDを上回ると主張
クアルコムは、同社の新しいSnapdragon X Eliteが主要な競合製品を凌駕すると主張する。発表されたベンチマークによれば、インテルのLunar LakeおよびAMDのStrix Pointと比較して、Snapdragon X Eliteは多くの領域で優れた結果を示した。特にGeekbench 6のマルチコアテストでは、インテルのCore Ultra 9 288Vに対して44%も高いスコアを記録し、性能面での優位性をアピールしている。
クアルコムはまた、これらの性能向上が効率的な電力消費と並行して達成されている点を強調している。従来の競合製品は、高性能を追求する一方で電力消費が増大するケースが多いが、Snapdragon X Eliteはその点でもバランスが取れていると主張する。このような成果は、スマートフォン市場で培った省電力技術がPC分野に応用された結果だという。
第2世代Oryon CPU、134%の性能向上を達成
Snapdragon X Eliteに搭載される第2世代Oryon CPUは、前世代を超える大幅な性能向上を実現した。クアルコムによると、インテルのCore Ultra 7シリーズと比較して、134%もの性能向上を達成したという。これにより、Oryon CPUはスマートフォンのみならず、ノートPCなどの分野にも積極的に展開される予定である。このCPUの特長は、プラグイン時だけでなくバッテリー駆動時にも性能が落ちない点にある。
インテルやAMDのCPUは、バッテリー駆動時に最大30%から45%程度の性能低下を示したが、Snapdragon X Eliteはそのような問題を回避している。この点が、モバイル端末のユーザーにとって特に大きなアドバンテージとなると見込まれている。クアルコムは、Oryon CPUを搭載した製品を来年の中頃までに市場に投入する予定であり、さらなる性能向上と普及を目指している。
ベンチマークで示される消費電力と効率性の優位性
Snapdragon X Eliteは、性能だけでなく消費電力においても優れた結果を示している。クアルコムは、自社のチップがインテルやAMDの同等品と比べて最大38%の電力効率を実現していると発表した。これにより、ユーザーは長時間の作業環境でも安定した性能を維持でき、バッテリー駆動での使用にも大きなメリットが生まれる。
また、同社のベンチマークでは、Snapdragon X Eliteはプラグイン時とバッテリー駆動時の性能差がほとんどないことが示された。対照的に、インテルのLunar LakeやAMDのStrix Pointは、バッテリー使用時に最大45%の性能低下を記録しており、Snapdragon X Eliteの優位性が際立つ形となった。こうした電力効率の高さは、エンタープライズ向けのラップトップ市場においても、クアルコムの地位を強固なものにする要因となると期待されている。
クアルコムの次世代CPU戦略と市場への影響
クアルコムは、Snapdragon X Eliteと第2世代Oryon CPUによって、PCおよびモバイル市場でのシェア拡大を狙っている。同社は、これまで主にモバイル端末向けのチップを開発してきたが、今回の発表でラップトップ市場への本格進出を明確にした。特に、インテルとAMDの製品を上回る性能と電力効率を両立することで、次世代CPU市場での競争を優位に進める狙いがある。
クアルコムは今後、PCメーカーとの提携を強化し、Oryon CPUを搭載した製品を拡大させる方針を示している。さらに、同社はSnapdragon X Eliteをエンタープライズ市場にも展開する計画で、クラウドベースのソリューションやAI用途にも適したプラットフォームとして成長を目指している。このような戦略的展開は、今後数年間のCPU市場に大きな影響を与える可能性がある。